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僕らの結末
扉の開く音にゆっくりと振り返る。僕を見た佳乃の顔が驚きに変わるのが分かる。そうした後に、口がゆっくりと開いていく。
「ど……、して……」
ぽつりと呟いた佳乃がそのあとで、僕の手に握られたナイフを見て息を呑む。そんな仕草も可愛らしくて仕方がない。
柔らかく微笑む顔も好きだけれど、こんな表情もたまらないな。
「探したよ、佳乃」
君も僕と離れて寂しかっただろう? 大丈夫、これからはずっと一緒だ、もう離さないよ。
「来な……いで」
怖がっているんだね。でも大丈夫。
知っているかな、佳乃。天国はとても幸せな場所なんだって。怖いことなんてないんだって。だからふたりで行こう。
「ねぇ、佳乃」
「また、会えたね」
そう、また会えたんだから。
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