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地上二階にあたる改札口から外に出て、何とか無事に逃げ切ったのも束の間、今度は駅の外の連絡通路から、下の道路に向かって飛び降りている若い男の姿がある。
「無視無視」
怜陽はそっちを見ないようにしながら、足早に通り過ぎようとした。
さっき飛び降りた男の幽霊が、壊れたビデオデッキの映像のように、また同じように手すりの上から道路に身投げする。
彼らはああやって、何度も何度も自殺を繰り返すのだ。すでに死んでいるのに……。
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