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怜陽がその男のすぐ脇を通り過ぎようとした時、今まで真っ直ぐ歩いていって飛び降りていたパターンを崩し、男が怜陽の方に振り返った。
「無視無視、視えてませんよ」
怜陽は小声で呟くと、全力で走って逃げる。
どうやら男の霊は、着いて来る気配はなかった。
地上に降りた怜陽は、男が身投げを繰り返している方に視線を向けると、相変わらず彼は道路に向かって頭から落下している。
こっちはこれから人生をかけた入試だというのに、何で朝からこんなに不快な気分にさせられなければならないのか。
「どいつもこいつも、さっさと成仏しろよ」
怜陽は憤りながら試験会場に向かって歩き始めた。
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