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全てが終わり、互いに最高の快楽を与え合った二人は、その余韻を楽しんでいた。
しばらくその状態のままでいた怜陽が、体をゆっくりと起こす。
「先生……。有難うございました」
「ぅ……ん。はぁ……はぁ……」
ベッドに俯せたまま、玲奈は肩で息をしていた。
「もう……はぁ……はぁ……いない……」
「えっ?」
「玲香先生……もう……」
答えたのは、玲香ではなく、玲奈だった。
「そうか……。成仏出来たのかな……」
それが怜陽の一番気になることだ。
「はぁ……はぁ……うん。多分……」
「そうか」
長かった。幽霊になった玲香と出会って二十三年。
ほとんど毎日のように、世話を焼いてくれた。
玲香と出会わなければ、きっと医者になることすら出来なかっただろう。感謝してもしきれない。
怜陽の目から、大粒の涙が零れ落ちた。
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