さようなら玲香先生

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車は前島レディースクリニックに到着した。 元々は秋絵の父が、泌尿器科を、母が産婦人科を担当する病院だったのだが、秋絵が院長になる際に、完全に産婦人科にして、名前も前島病院から前島レディースクリニックに改名したのだ。 「あ、来ましたね。こっちです」 担当看護師の山川伊吹がちょうどいて、一条の顔を見ると案内してくれた。 「もうまもなく生まれますよ。お父さん立ち会いますか?」 「おお、鳥塚先生、行ってきなさい」 「あ、はい。じゃあ」 怜陽はいざなわれて分娩室に入った。 「大きく吸ってぇーーー」 義母の秋絵が、大きな声で玲奈に声をかけている。 「あ、怜陽くん。こっち来て、玲奈に声をかけてやって」 「はい」 怜陽は言われるままに、玲奈のすぐそばまで行き、手を握って話しかけた。
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