さようなら玲香先生

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一週間後、玲奈は退院して、実家に帰ってきた。 三か月前から、玲奈は怜陽の勧めで、実家で生活しているのだ。 常に産科医が自宅にいるし、勤務先も同じなので通勤の送り迎えもしてもらえる。 「はい、帰って来たよ、れいかちゃん」 「もう、玲奈ったら、娘の名前、玲香はイヤだって怜陽くん言ってたじゃないの」 「だってママ、この子がお腹の中にいるとき、色んな名前で呼びかけても反応しないのに、れいかって呼んだ時だけ、お腹を蹴るんだよ。それも一度や二度じゃないんだもん」 「へぇ、そうなの?」 「それにさぁ、見てよママ。この子ってさぁ、レオくんや私より、絶対玲香先生に似てると思わない?」 「ぅうーーん、まぁ、そう言われれば、似てるけど……」 秋絵は初孫の顔をしげしげと見つめた。
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