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息子の反応
「あら、……今日はママのお兄さんもお迎えに同行なさったのね。親戚なだけに翔真くんにそっくりね」
外で待ってて欲しいのに、翔琉くんはツカツカとこども園の中に入っていき、年少さんクラスの教室に一目散に歩いて行った。
「……いえ、翔真の実の父親です」
私がシングルマザーだという事は年少組の父兄に知れ渡っている。
「血縁証明書もある」
胸ポケットから証明書を取り出し、中村先生に見せた。
中村先生は対応に困っていらっしゃる。
「いつも息子が大変お世話になってます。これからは私も送り迎えをするので、よろしくお願いします」
息子を拉致され人質にされそうで怖い。
「……僕のお父さんなの?お母さんの会社で開発したアンドロイドじゃないの?」
翔真に似過ぎるほど似た翔琉くん。
スーツをビシッと着こなし、言動はともかく、身動きは洗練されている。
アンドロイドと思われてもおかしくない。
「翔真くん、おいで」
しゃがみ込み、翔琉くんは両手を広げる。
靴を履いて出てきた翔真が恐る恐る翔琉くんに近づく。
「高い高い!!軽いな!!」
翔真をひょいっと持ち上げ、満面の笑みを浮かべる翔琉くんに、幼児と先生と父兄の目がいく。
「翔琉さん、行きましょう。中村先生、今日も1日ありがとうございました」
「中村先生、バイバイ。また明日ね!!」
肩車をされ、翔真は嬉しそう。
翔琉さんと一礼し、こども園から出る。
「わぁ、車だ!!」
こども園の駐車場に黒塗りのメルセデス・ベンツは目立つ。
「これからご飯を食べに行くぞ!!」
翔真を肩から降ろし後部座席に乗せ、私も乗り込む。
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