982人が本棚に入れています
本棚に追加
翔琉くんの側に、私は居たらいけない。
『君が居たら、嶋田くんはダメになる』
ソミーでバイトをしていた時に翔琉くんの上司からそう言われ、ショックを受けた。
在宅勤務でできる仕事だから出社する必要はない。
納期内に終わらせればいいと、私がいる時は仕事より私を優先にしていた。
翔琉くんの創り出すシステムとプログラミング技術。
VR・MR開発などの技術も優れていて、彼のゲーム開発能力を尊敬していた。
『莉子が高専専科を卒業したら結婚しよう』
翔琉くんが大学修士を卒業した日。
ティファニーのエタニティ仕様の婚約指輪を跪き箱パカで見せられ、プロポーズされたの、嬉しかった。
翔琉くんと結婚して温かい家庭を築きたいと心の底から思っていた。
だけど、私が翔琉くんの側に居たら翔琉くんはダメになる。
翔琉くんの前から居なくなった理由。
私が側に居たら仕事をしなくなるから。
実際に再会してから彼は常に私の側に居ようと必要最低限の仕事しかしていない。
私がいるからとイブトランの代表取締役になり、ゲームプロデューサーになる夢を諦めた。
私は翔琉くんの側に居たらいけない。
最初のコメントを投稿しよう!