待ち人は来ず side 翔琉

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「じゃ、探偵雇って莉子を見つけだして、監視だけしろ!!」 「……それ、秘書の仕事ですか?経費で落ちないですからね!!」 今すぐでも莉子を捕まえに行きたい。 だけど、それで莉子に恐れられたら元の子もない。 「翔琉さん……仕事しないとそろそろマズイですよ」 クライアントとの接待や商談はこなすも俺が本当にやらないといけない仕事は全く手についてない。 「杉宮さんはしっかりされた方です。イブトランでの業績を見たら、実績はNo.1です。妊娠中も産後も子育てをしながら働きづめだったみたいですね。シングルマザーで翔真くんを育てていくために必死なんですよ。なのに、翔琉さんは全く仕事してないって、どうなんですか?」 莉子が居なくなってから、仕事に身が入らない。 莉子が側に居た頃も彼女優先で仕事をしないと言われていたが、居なくなってからはゲーム開発に関しては全く閃かないしやる気にならない。 このままではマズいとはわかっていても、前に進めない。 莉子に執着してしまう。 京都で実績がある探偵事務所に依頼をかけたのもあり、莉子の居場所は直ぐに突き止められた。 莉子は任天社に再就職し、翔真くんも延長保育が充実したこども園に入園し、平和に暮らしているらしい。 探偵事務所から毎日、写真とともに報告が来る。 こども園の送り迎え以外、外出しない莉子。 家の中の様子は優秀な探偵が定期的に隠し撮りしてくれてるから状況把握できている。 キモいと言われてもいい。 莉子が幸せに何不住なく暮らせているかが分かれば、それで良かった。 何かあれば、すぐに駆けつける。 それぐらい、莉乃と翔真くんがかけがえのない存在だった。
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