新たな門出

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「園のクリスマス会、ファミリー参加なの。お父さんにも来て欲しいな」 キリスト教のこじんまりしたこども園に途中入園させたのもあり、親の参加が必須であたふたする。 クリスマスの日の夜に園の聖堂にファミリーでお祈りに行き、その後、盛大なパーティーを開くらしい。 代行パパを雇えたらいいが、翔琉くんの事を父親と認識してしまった翔真は受け入れられないだろう。 途方に暮れる。 シングルマザーは珍しくない。 たぶん、7人に1人はシングルマザー。 園のこのイベントは子供にとって酷だと思う。 翔真には申し訳なく思うも、仕方がない。 シングルマザーでの子育ての難しさを想うも、どうしようもできない。 父の日、母の日、敬老の日の似顔絵は保育園や幼稚園のカルキュラムで必須で、翔真から、『僕にはおじいちゃん、おばあちゃん、いないの?』と聞かれ、困った。 翔真が産まれる前に事故死した事を伝えて、焦燥感に駆られた。 高速道路での玉突き事故。真ん中で車がぺったんこになり、両親の原型はなかった。 警察からの連絡で翔琉くんと駆けつけ、私だけが両親の亡骸に対峙したが、寄り添っていた翔琉くんにかなり気を使われたと思う。 そんな私を見捨てず、ずっと寄り添ってくれていた翔琉くんに申し訳なく思う。 「クリスマスは毎年来るから。お母さんと楽しもう!!」 翔真に申し訳なく想うも、こればかりはどうしようもできない。 だけど、これ以上、翔琉くんに迷惑をかけたくなかった。 私のせいで人生を台無しにしないで欲しかった。
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