再会は突然に

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再会は突然に

「カウンターに回転型タッチパネルで注文は斬新的だな。で、回転板を到着した時のみオープンにする。ペロリストも手出しできないだろう」 取引先のエスアイエムへ赴き、会議室で組まれた回転寿司の回転型タッチパネルにシステムを導入する。 皿が流れるレーンの上部に細長いタッチパネルを貼り、遊び心で寿司が注文できる仕様にする。 従来の卓上オーダータッチパネルはそのまま使用で、回転板に囲いをつけオープン式にするためにこのタッチパネルは開発された。 「問題無いね、スムーズに動いてる」 イブトランの営業、柳本係長がなぎ寿司の機器開発部の斉藤部長に電話をかけ、完成した事を伝え、来社のアポを取る。 来週の水曜日の午後イチに来社されるという事で、また立ち合わないといけない。 「杉宮さん、もう帰っていいよ」 「は、はい。お先に失礼します。お疲れ様でした」 私に小さな息子がいる事を柳本係長は知っている。 だから、先に帰らせてくれた。 この後、打ち上げを称した飲み会が行われる。 その話が出る前になんとか逃げ出す事ができ、助かった。 18時半に翔真を迎えに行けそうで、ホッとする。 「……莉子!!」 エスアイエムの本社ビルを出て、西武新宿 に向かっていると、黒のベンツが私の目の前で停まり、後部座席のドアが開き、仕立てのいいブラック×ストライプのスリーピーススーツを身に纏った高身長な男が出てきた。
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