突然現れた御令嬢

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「……彼女とご結婚されるのですか?」 無表情で翔琉くんに訊ねた深井誠子さん。 「私は結婚を考えておりますが、彼女がその気ではないので。今、口説いている所です。すみません、息子がいるので話はまた今後にして下さい」 深井誠子さんの表情が恐ろしく、翔真が脅えてる。 私も遠目だけど彼女の発している不機嫌なオーラに怖気付き、ドリンク片手に席に戻る事ができない。 彼女が友人達とレストランから出て行き、やっと席に戻る事ができた。 「莉子、遅かったな。ドリンクコーナー混んでた?翔真くん、デザート取りに行こうか」 翔琉くんは何もなかったように、翔真を連れてデザートコーナーへ行く。 「……杉宮さん、貴方、天涯孤独な癖に嶋田常務の子を産んでるのよ!!悲劇のヒロインぶって彼を惑わせて、彼の人生を狂わせたいのね!!」 翔琉くんが翔真を連れて席を離れた途端に御令嬢が戻ってきて、ドスが効いた声で私を非難してきた。 「嶋田常務の前から消えて。絶対に彼と結婚しないでよ!!」 それだけ言い放つと御令嬢は足早に去っていった。 翔琉くんと結婚するつもりはない。 逃げても探し出され接触してくるから関わりを切る事ができず、今に至る。 御令嬢からの脅迫に恐怖を感じ、翔真には申し訳ないけど、翔琉くんと距離を開ける事にした。
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