彼女が俺から離れていった理由  side 翔琉

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彼女が俺から離れていった理由  side 翔琉

「古瀬部長が莉子にそんな事を言ったのか!!」 ソミーIEに入社して半年経った頃。 急に莉子が『翔琉くん、送り迎えしないでいいから、仕事して』と言い出し、学校から帰ってきてからも俺に『私に構わないで仕事して』と言って、俺を仕事部屋に閉じ込めようとしていた。 6年半バイトしていたソミーIEに社員として採用して貰えなくて塞ぎ込んでるのだと思っていた。 バイトも辞め、ぼうっとしていた。 精神的に病んでるようだったから、しばらく休むよう莉子を諭した。 親父と不仲だったから実家がNEW WINDを経営している事を伝えてなく、莉子が落ち着いたら母の元でゲーム制作かオリジナルコミック投稿サイトのシステム開発の仕事につけばいいと思っていた。 親父は鬼畜だが、母はまともだ。 莉子がソミーIEに正社員採用されなかったのは、俺のせいなのかもしれない。 人の10倍はノルマをこなしていたが、莉子との時間を優先していて、古瀬部長からやっかみを買っても致し方がなかったかもしれない。 「莉子、仕事で成果を挙げてたから。他の社員より数倍ノルマを達成していたし」 莉子から理由を聞き、納得はできないが、配慮が足りなかった俺のせいもあり、反省する。 「莉子、……俺、仕事はしっかりやる。莉子が側にいた方が仕事も捗る。だからさ、俺とやり直してくれない?」 莉子を見つめる。 誤解は解けた。 やり直せる気がする。 「……すれ違っていた期間が長かったから、急には無理」 「なんで?」 「翔琉くん、……かっこよすぎるから」 莉子が頬を赤めて恥ずかしそうに伝えてきた。 承諾と受けとっていいと思われる。
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