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株式会社 NEW WIND 常務取締役と書かれた名刺に驚く。
翔琉くんがアプリゲーム開発とオリジナルコミックサイト運営でかなり業績を上げているIT企業の御曹司とは知らなかった。
大学卒業後、翔琉くんはバイト先だったソミーのゲーム開発部に就職した。
私も高専入学時からプログラマーとしてバイトに入っていた。
「……イブトランか。西原、イブトランまで頼む!!」
社に戻る用事はないけど翔琉くんから解放されるために、連れて行って貰う。
ストッキングの脚の付け根部分が裂かれ、ショーツもベタつき気持ちが悪い。
オフィスビルで私を降ろすとすぐに車が走り去って行ったから、自宅マンションに急いで戻る。
翔琉は異常なぐらいに私を溺愛していた。
付き合い始めてすぐに私を自宅マンションに住まわせ、校内以外は常に私の隣にいた。
「……シングルで子供を2人育てるのは無理だし、オンラインレディースクリニックで緊急避妊薬の処方箋出して貰おう」
働く女性の味方、オンライン診療。
シャワーを浴びて、念入りに洗っても不安が拭えず、すぐにオンライン診療のサイトにアクセスし、産婦人科医に避妊に失敗したと伝え、多めに緊急避妊薬を処方して貰った。
産婦人科の近くの薬局で薬を購入し、翔真を迎えにいく。
翔琉くんが現れたせいで、迎えが30分遅くなってしまった。
帰ってから唐揚げを揚げ、千切りキャベツとマカロニサラダを添え、温めた味噌汁とご飯を食べる。
翔真が翔琉くんに性格が似なくて良かったと切実に思う。
可愛い息子との生活を守りたい。
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