きのこ狩りツアーに親友と参加した。

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  「この度は当社の馬車ツアーを選んで頂き誠に有難う御座います。より旅行を楽しんで頂く為に、今からきのこ狩りの説明をしまーす」 「ワーーー!!パチパチパチパチ!!」  馬車内で陽気な添乗員さんがそう言えば同じツアー馬車内の乗客達から歓声が上がり拍手が湧き起こった。  性的に男性が好きな僕と親友は今一緒に一泊2日の馬車ツアーを楽しんでいる。  と言ってもまだ旅行は始まったばかりで、親友は自分から僕を旅行に誘った癖に、旅行馬車に乗った早々寝てしまい全く起きる様子はない。 「もうすぐ目的地のきのこ山に到着します。登って頂くきのこ山の山頂が今日の宿泊ホテルになっておりますので、ゆっくり山道を散策しながらきのこ狩りをお楽しみ下さい。  夜の夕食迄にはホテルにチェックインして下さいね。  きのこ山のきのこは沢山の種類が自生しており、中には高級きのこや、王様と言われるきのこも取れた方がいらっしゃいます。中には幻の黒きのこもきのこ山には存在するそうです。それらは全て食べ放題です。ただし、調理はできないので生でのみになります。またお土産用として一本だけお持ち帰りができますので、是非立派なきのこを取って持ち帰って下さいね。なお、2本以上持ち帰ろうとした方はペナルティがありますので、くれぐれもきのこ山におけるコンプライアンスの厳守を宜しくお願いします」  雰囲気がひたすら明るい陽気な添乗員さんからきのこ狩りの簡単な説明が終わるとまた歓声と拍手が起こったので、僕もつられて拍手をした。  拍手をしながら改めて今回のツアーの参加者を見渡してみた。他の乗客は誰とも話したがらなさそうな1人参加者が多いと感じた。性別は女性の方が多いが、僕達みたいに中には男性も数人いた。  このきのこ狩り馬車ツアーは、親友が言うには申し込みがもう少し遅ければ取れなかったと言う位、大人気のツアーらしい。今日のツアーも満員御礼の札が馬車の入り口に掲げられていた。 最近はきのこの美容効果やきのこの潤い成分がお肌に効くと女性達に大人気だ。 僕もきのこの炒め物や衣をつけて揚げたきのこフライなんかも好きだし、マリネやシチューの具も何にでも合うきのこが大好きだったので、親友に誘われてからこの旅行を楽しみにしていたんだ。  でも山の散策中なら食べ放題だけど、調理が出来ないとなると困ったな。正直、調理ができず生だけの食べ放題だと、そんなに食べられそうにないかも。  それでもせっかくきのこ狩りに来たんだ。是が非でも支払った金額より元を取って帰りたいと思うのは、一般庶民の僕の金銭感覚は当然の感覚だと思っている。 「んっ…ふああっ……ニールおはよー。ふああ……良くねたぁって、あれっ?もうすぐ到着じゃん!!やったー楽しみでワクワクしてきたー!!」  もう直ぐきのこ山に到着する頃になると、ようやく親友のヘリスが起きた。その頃のになると馬車に揺られているだけだったのに何だか疲れていた僕は、今になって元気になっているヘリスが羨ましい。 「ヘリス、君が寝ている間に添乗員さんからきのこ狩りの説明があったよ。夜の食事迄に山頂のホテルでチェックインして欲しいって。それ迄は山を散策しながら取れたきのこは全て食べ放題で、1つだけお土産に持って帰れるんだって」  僕の適当な説明でもヘリスは目を輝かせて聞いてくれていた。それにしてもヘリスがそんなにきのこが好きだったなんて知らなかった。どちらかというとヘリスは食べ物よりも恋愛が好きだし、身体目当てのエッチだって大好きというイメージだ。  だから自分の美容にも人一倍気を遣っているのは知っているから、美容に良いきのこが好きだったってのは容易に想像できるけど。 「なあニール、時間迄きのこを食って食って食いまくろうな!!」  にぱっと笑ったヘリスは大きな吊り目を細めた。いつもツンツンしている子猫がたまに甘えてくるみたいにヘリスが愛らしい!!こんな笑顔を向けられたらどんな事もしてあげたくなっちゃうのもわかる。ヘリスは普段からモテるが、無意識に人たらしの才能がありすぎて、騒動に巻き込まれる事があるらしい。最近もストーカー被害に合って疲れていると言っていた。  そんな少々お疲れ気味だけど、きのこ狩りを相当楽しみにしていたヘリスは気合い充分だった。僕もヘリスに負けないくらい新鮮なきのこを食べられるだけ食べてやるぞっと、心の中で気合を入れた。あっそうだった!!そう言えばヘリスに生でしかきのこを食べられない事を言ってなかった。 「ヘリスに言うのを忘れていたんだけど、きのこは高級な物でも全部食べ放題だけど、調理はできず生でしか食べられないんだって。だから旅行代金の元は取りたいけど、正直、僕はあんまり食べられそうにないんだ」  僕は伝え忘れていた食べる時の注意点を説明したけれど、ヘリスはまたにぱっと笑って親指を立てただけだった。 「俺は寧ろ生でしか食べたくないから大丈夫だ!!どんとこい!!」 「ええっ!?……お腹下しちゃうよ……?」 僕の心配をよそにヘリスは自信満々だった。 「俺はきのこを沢山食べたくて旅行に来たんだから、お腹を下したって後悔はしないさ。だけどニールはそれなりに可愛い癖に、恋人も出来ないし、性欲も少ないし、少食だから沢山食べるなんて無理だろ?それならニールは高級なきのこを見つけてお土産にするのが1番いいな。まっお互い旅行を楽しもうぜ!!」  そう言ったヘリスが豪快な笑声をあげて僕の背中をパンパンと叩いたのがちょっと痛かった。もうっ!!恋人が出来ないとか、性欲も少ないとかは今は関係ないだろっ!! ヘリスと俺は外見も性格も全然違う。ヘリスは誰が見ても見栄えする顔だし、愛嬌たっぷりの甘え上手な外見をしている割には性格は豪快な部分がある。それに比べて僕は、顔は地味だし、物静かなタイプで几帳面と言えば良いけれど、ただ神経質で石橋を叩いて渡るタイプの人間だ。 全然性格も違うし仕事でも接点が無いのに、不思議なもので何故かヘリスとは馬が合った。それに話す内容もお互い聞いた事がない分野が多くて、僕はヘリスの話も面白かった。ヘリスも僕と同じだったみたいで「お前とは趣味も何もかも違うから親友として長く付き合っていきたい」と言われて、実際長い付き合いになっている。  そうして寝起きのヘリスと話していると、あっという間に目的地に到着したみたいで馬車が止まった。  そこは丁度きのこ山の入り口になっており、入り口の周りにはお土産屋さんや飲食店が立ち並んでいて、かなり賑わっていた。 「皆さん到着しましたぁ!!ここがきのこ山の入り口です。山の入場チケットを今から配りますので、皆さん一枚ずつ貰ったら入り口で出して下さいね。後は夕食迄自由行動です。では楽しんで行ってらっしゃーい!!」  陽気な声で添乗員さんそう言いながら順番にチケットを配ってくれている。貰った人はそれぞれ自分で馬車を降りて山の入り口に直行する人もいれば、先ずは腹ごしらえしようとお店に向かう人もいて、一気に馬車にいた乗客が散り散りになっていった。  僕とヘリスはチケットを受け取ると、早速きのこ山の入り口でチケットを渡してきのこ山の中に入った。きのこ山は普通の山とほぼ同じだが、紅葉がカラフルでとても綺麗だ。この紅葉は秋だけじゃなくて、年中見られるとかなんだとかって、馬車内で他の旅行者が話していたっけ。 「はあー何だか山の空気も美味しいし紅葉も綺麗だねー」 「ニール、じゃあ此処らで俺達は別行動しようぜ」 「はああっ!?何言ってるの?!」  旅行が始まったばかりなのに、ヘリスがいきなりそんな事を言い出した。真剣な表情で僕を見てくるから真剣なんだろう。けれど僕にはヘリスが一体何を考えているのか全く理解出来なかった。 だって此処らで別行動しようぜって……一緒に旅行に来て、これから目的地のホテル迄きのこ狩り楽しむというのに別行動しようだなんて、本当に一体何を考えているんだ? 「ヘリス、一体何の冗談を言っているんだ?一緒に旅行を楽しむつもりで僕を誘ったんじゃなかったのか?」  僕がヘリスにそう言うと、ヘリスは少し間、黙って色々と考えている様だった。それから暫くして、考えがまとまったのか、僕の両肩に自分の両手を乗せて僕に説明をし始めた。 「ああ……ニールがまさか俺と一緒にきのこ採りを楽しもうとしていたなんて知らなかったんだ。だけどごめんな。俺は知っての通りビッチだけど、親友のニールと一緒にきのこ狩りを楽しむとか流石にそんな趣味はない。  ただ、たまに人の物まで欲しがって、それがまた成功してしまうから俺は敵を多く作り過ぎるだけなんだ。  だがそんなモテる俺にも、ずっと興味もなく親友でいてくれたニールに、折角だから旅行を楽しんで貰えたらと思って誘ってみたんだ。  それに俺はニールには全く興味がない。お互い趣味が違うからこそ、今までも仲良しでいられたんだと思うんだ。だからこれからも俺の事は興味がないままでいてくれ!!」 「は……はあ……?」  ヘリスの圧倒的な説得の様な話?に対して僕は話を十分に理解出来ないまま……口をポカンとさせて唖然としてしまった。しかし、とにかくヘリスの真剣な表情と圧が凄い。  それに僕はただヘリスと旅行を楽しみたかっただけなのに、ヘリスに告白してないのに、振られてしまった気持ちになってしまった。一体何故こんな話の流れに?  ヘリスはそのまま話を続けていた。 「考えてもみてくれ!!俺はニールには興味が無いが、例えばもしニールが凄いきのこを見つけたとしよう!!俺もそのきのこが欲しくて堪らなくなり、俺が1番先に発見したと言い張ったらニール?お前と俺はどうなると思う?」 「えっ……そりゃあ……どっちが先に発見したか取り合ったり喧嘩になったりして……」 「ニール!!そういう事だ!!俺は美味しそうなきのこを見つけたら、多分ニールと喧嘩してでも奪って自分が食べる。お前はそれでも俺と一緒に旅行を楽しめるのか?」 「あっ……!!」  そうか!!  ヘリスは僕と旅行を楽しむ為に、敢えて!!、敢えて!!別行動をとる事にしたんだ。  確かにこのきのこ山には高級食材になるきのこや、きのこの王様や、幻のきのこと言われるきのこもあるらしい。  そんなきのこが一本だけしか自生していなかったら……!!  僕も譲れないかもしれないし、ヘリスに取られたら恨んでしまうかもしれない。  食べ物の恨みは怖いのだ。  僕は黙ってヘリスに頷くと、ヘリスは思いっきり笑顔になって「じゃあ、早速だけど別れようぜ!!夜はホテルでお土産にしたきのこ見せ合おうな」と言ってさっさと山道の別れ道で、元気いっぱいに手を振られて別れてしまった。 でも折角の旅行なのに1人だなんて何だか寂しいな……。  辺りは静まり返り自分の歩く足音がいつもより大きく聞こえて、急に1人ぼっちになってしまった気がした。  まだ日は明るいが山の中は薄暗い。木陰と木陰の隙間から木漏れ日がはみ出して輝いている程度。  その中で1人トボトボと歩いていると、高い山にありがちな霧がでてきた。  あっと言う間に足元もボヤけてきて、木の根っこにつまずかない様に気をつけて歩いていると、遠くの方から小さな声が聞こえて来た。 「えーんえーん……」  んっ?山の中で小さなか細い泣き声は子供?こんな処で迷子?  子供の泣き声が聞こえてそちらにいけば、少し遠回りになってしまうが……もし小さな子が1人でいるならきっと迷子で困っているかもしれない。 恐る恐る声の方に近づいてみると、やはり木の木陰に蹲って泣いている小さな男の子がいた。 「君1人で……迷子かい?名前は?」  そう男の子に声をかけてみるが返事は無い。  そのままびっくりさせない様に丸まっている背中に優しく手を置いたら男の子の身体がビクンっと震えてしまった。背中を触ったのは不味かったか?怖がらせてしまったかな? 「大丈夫だよ。僕は怖くないよ。君はお母さんとはぐれちゃったかな?」  そのままゆっくりと背中を摩っていれば少しは安心してくれるかなと思っていたけど、男の子の身体の震えは収まる処かもっと震えだして白い煙を出してきた。  えっこれは何?湯気?  男の子の近くにいた僕は不思議な気持ちでその白い煙を吸い込んでしまうと、急に息が上がりその男の子に対してムラムラしてきて顔が見たくなったり、あわよくばキスしたり身体を触りたくなってきた。 「はあっ!!なっ何だこの気持ちは!!」  ショタコンでもあるまいし急に僕は何こんな小さな男の子に欲情させてしまっているんだ!!このまま男の子の近くにいたら僕はこの子を襲いかねない!!今の僕は危険人物だ!! 「ごめん、僕ちょっと君から離れるからっ!!なっ、ちょっ!!」  直ぐにその男の子から離れようとしたが、いつの間にかその男の子は立ち上がって素早く僕を押し倒した体制になったので混乱する。それに案外力が強くて抵抗できない。 「うふっお兄ちゃんの此処がもう腫れてるよ」  さっき迄泣いていたと思っていた筈の男の子はクリクリした大きなタレ目の可愛い子だった。そして全く泣いておらずとびっきり笑顔を僕に向けながら僕の痴態を指摘した。男の子の片手は僕の下半身の1番盛り上がっている処をツンツンと触っている。 「あうっごめん。これは違うんだ。何かわからないけど勃ってしまって……今の僕は君にとって危険だ!!今すぐ僕から直ぐ離れた方がいい!!」 「うふふっそーなの?じゃあ僕の胞子が効いてるね」 「はあっ……はあっ……ほっ胞子……?」  僕が離れてと言ったにも関わらず、男の子は僕を抱き締めてあろう事かキスをしてきた。 男の子は積極的に僕の口内に舌を入れると隅々迄口腔内を撫で回されて僕は自分の身体の力も抜けてしまう。  抜けた力は自分のペニスに集中してしまったかの様に我慢汁が垂れ流れているのが分かった。 しかしこんな小さい男の子に欲情するなんて僕は……自分で自分が信じられない。 「お兄ちゃんさっき僕の白い胞子を吸い込んだでしょ?僕の胞子を吸い込んだら僕の事が好きになって食べたくなるんだよ」 「はあっ……はあっ」  そうしている内に男の子はキスを止めて自分の小さなペニスを取り出した。それをあり得ないのに僕の口の中にあっさり挿れてしまった。ありえない状況なのは分かっているが、胞子のせいなのかこの霧のせいなのかボーっとして頭が働かないまま、小さなペニスに合わせた口の形にして男の子の出し入れに付き合っている。 「ああっお兄ちゃんのお口気持ちがいーよおー!!んっイクッイック!!」 「ううっ!!んぐっ」  出し入れしていた小さなペニスが震えたと思ったら何かが口の中に広がったと思った途端、一瞬で男の子が消えてしまった。 「んえっ??」 (お兄ちゃん、僕の名前はねーーシメジだよーー。美味しそうに食べてくれて有難うーー………いっぱい仲間がいるから今度は下のお口でも食べてねーー……)  男の子がいなくなるその瞬間、自分の頭の中に直接男の子の言葉が入ってきて自分の周りには誰もいなくなった。  そして残ったのは自分のペニスのせいでじんわり濡れてしまったズボンをはいている僕1人。 「い、今のは一体何だった?夢だったのか……」  夢だったのかそれとも幻覚だったのだろうか。  泣いている男の子がいて声をかけたら急の男の子を襲いたくなって、気づいたらペニスを口に含んで出し入れされただなんて……。 「ふへへっ……はははっ」  ついさっきの出来事を考えれば考える程なんだか笑えてきてしまった。  だってこんなあり得ない話って無い。  完全に幻覚を見たんだ。  僕が実際に経験したとヘリスに言った処で絶対に信じて貰えない話だ。逆にヘリスが僕にこの話をしても僕は絶対信じない。  現に全く証拠も無い。あるのは自分の精液で濡れてしまったズボンだけ笑。 「馬鹿馬鹿しいったらありゃしない。ははっ……よっこらせっと」  僕は自分に掛け声をかけて起き上がってみた。  特に貧血や立ちくらみも無くて安心する。結構身体の方はどうも無くて元気なくらいだったしペニスの方はまだ緩く勃ちあがっているくらいだ。 「幻覚にしても小さな男の子にフェラチオしただけで射精してしまうとは無様だよな。ははっ……」  自分のペニスが直接刺激しないまま射精しまうなんて初めての事だったので動揺しているかもしれない。  だってまだ近くから「えーんえーん」という小さな泣き声がいくつかの場所で聞こえてくる様に感じるから。 「この霧が無い処を探そう」  そうだ。この霧みたいなモヤがあるのが変な幻覚を見てしまった原因かもしれない。もう少し歩き出して霧の無い場所迄行こう。  僕はそう思って山道を歩き出した。 終わりですが続くかも知れません。
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