ありがとう

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 久しぶりに外に出たら、思っていた程には寒く無かった。  周りは原っぱ。気持ちの良いお天気で、柔らかい風を胸いっぱい吸い込む。 ——あぁ、深呼吸なんて久しぶり。  真っ直ぐに続く道を、どんどん歩く。気分爽快。足取りも軽い。 ——こんなに気持ちの良いお散歩、しばらくして無かったな。  その場で円を描くようにスキップで回ってみた。何度も何度も回っても、疲れもしない。 ——あぁ、気持ちいい。 「そんな所で、何を遊んでるの」  いきなり肩に手が掛かった。 ——えっ……。  お祖母ちゃん? 「いい? あなたには、まだまだ仕事が残っているでしょう。色々やり掛けたまま放って置いて、こんなところで遊んでてはいけないよ」 「えー。もうちょっとだけ」 「子供達も待ってるよ。早くお帰り」  いつも優しくて、ニコニコしているお祖母ちゃん。お祖母ちゃんにこんなに強く言われたの初めて。 ——仕方無い。帰るかな。  ちょっと癪だったから、来た道を振り返らず真っ直ぐ帰った。  
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