第二話 善と悪の軍団

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「ただ、やっぱり青臭いのは苦手だねぇ。私は少し刺激臭のある方が好きなんだ」 その言葉に、アムルタートは僅かに顔を顰める。 「……何か言いたいことでもあるんですか」 「いやあ、別に? それとも何か思い当たる節でもあったかい? 例えば自分の事とか……」 アムルタートはザリチュに向けて槍を振るい、ザリチュはそれを杖で受け止めた。 「やっぱり! あなたのそういうとこ! 私、ほんっと嫌いです!!」 「はっははは! いやあ申し訳ない、生まれつきこういう性格でねえ!」 「知ってます!」 アムルタートの振るう槍は決して未熟なものではない。アムシャ・スプンタの一員なだけあり、その力は確かなものだ。  そんなアムルタートに相対するザリチュも一筋縄ではいかない。ハルワタートの槍をかわしたり杖で受け流し、隙を見て魔術を打ち込む。 「大体! なんであなた方ダエーワの皆さんって挑発から入るんですか!? やっぱりアンリ・マンユに似たからですか!?」 「そうだねぇ、似てるつもりは微塵も無いが……っと! 親と子は悪いところばかり似るとか言うらしいからなァ。彼と親子のつもりは無いがね!」 ザリチュが杖でアムルタートを弾き飛ばすと、アムルタートは空中に放り出された。そこを狙ってザリチュは魔術で生成した火球を放つ。 「ただ全員挑発から入るのは違うね。タルウィやサルワ、アカ・マナフは違くないかい?」 アムルタートは空中で体を捻って体制を整え、槍で火球を防ぐ。 「そうですね、タルウィさんやアカ・マナフさん、サルワさんに関しては訂正します! けどドゥルジさんのはあれどうなんですか!? アシャさんにいっつも奇襲かけては挑発してますし!」 「アレは仕方ないさ。正義を司り正々堂々を好むアシャ・ワヒシュタと正反対の性質を持つなら、喧嘩をふっかけるのにあれぐらいはして当然だろう。まあ勝負自体はちゃんと対一でやってるのだし、大目に見てやりたまえよ」 地面に降り立ち、槍を大きく振るいながらアムルタートは言葉を返す。 「あなた方の同僚でしょう、何とかならないんですか!?」 槍を受け止め、ザリチュは呆れたような声音で言う。 「なるならなってるさ。そもそも、あれが彼女の本質でもあるんだ。変えるのは無理だよ。それに」 ザリチュはアムルタートの杖を弾き、後ろに退いた。 「本能のままに在る、そうしたいからそうする。それこそが悪魔の本質。キミも分かってるだろう?」 「っ、それなら……! どうして、今のあなた達は!!」 アムルタートは叫びながらザリチュに槍で切りかかった。
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