第三話 乱戦

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そんな中、アズラエルの元に一人の天使がやってきた。 「報告! ラジエル様の軍がもうすぐこちらに到着します!」 「! 本当か!」 「到着次第、即座に第5層へと突撃するとの事です!」 「そうか、分かった」 アズラエルは息を吐き、天使を見る。 「ああ、そうだ。聞きたいことがある」 「はっ、如何なされましたか」 アズラエルは天使に大槍を振るう。目の前の天使はそれをひらりとかわした。それを見たアズラエルの部下が目を見開く。 「アズラエル様!?」 「……ラジエルの軍は強いか? 」 ベリアル、と呼ばれた天使はアズラエルの目を見て、ニヤリと笑った。 「ククッ、やっぱりバレたか。流石だよ、アズラエル」 「その程度の変身だ、わざとバレるようにしただろう?」 不敵な笑みを浮かべる天使の姿がぐにゃりと変わっていく。アズラエルは目を離さずにそれを見ていた。 少しウェーブのかかったプラチナブロンドの髪、中世の貴族のような服装、少し垂れている赤と青のオッドアイの男性。それが魔王ベリアルの本来の姿だった。 「相変わらずの慧眼だ。ま、俺も雑魚なんかより上物とヤりたかったし」 「私としては願い下げなんだがな。なんならルシファーにでも頼めばよかったんじゃないか?」 「そうなんだがね、まあ一度誘ったよ。そしたら彼、なんて言ったと思う?」 「断られたか」 ベリアルは目を細め、喉奥で笑う。 「いや、そんなもんじゃなかったね。俺でさえ予想外の返答が来たんだよ」 そして、大きく声を上げて笑った。 「お前が死んだらその上に跨って腰振ってやるよ、だとさ! 直前に、俺に蹴り入れて頭を踏みながら、笑ってそう言ったんだよ!」 狂ったような、そして楽しそうに笑うベリアルのその様子を見て、アズラエルは呆れて息を吐いた。 「イカれてるな。お前も、ルシファーも」 「ああ、そうだ。俺自身それなりにとは思ってたがね、ルシファーは予想以上だよ! あのイカれっぷり、ありゃあたまらないね! 久しぶりの逸材だ!」 「お前にそこまで言わせるとは……天界で見たのは氷山の一角、いや、一欠片だったか」 ゆっくりと舌なめずりをするベリアルを見て、アズラエルは大槍を一振りした。 「どちらにせよ、倒させてもらおう。そこまでいかなくとも、しばらく動けなくはなってもらうぞ」 「ああ、イイね……アズラエルとこうして、久しぶりにやりあえるのはとても興奮するよ」 喉奥でくつくつと笑うベリアルに、アズラエルは眉をしかめた。
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