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そんな中、アズラエルの元に一人の天使がやってきた。
「報告! ラジエル様の軍がもうすぐこちらに到着します!」
「! 本当か!」
「到着次第、即座に第5層へと突撃するとの事です!」
「そうか、分かった」
アズラエルは息を吐き、天使を見る。
「ああ、そうだ。聞きたいことがある」
「はっ、如何なされましたか」
アズラエルは天使に大槍を振るう。目の前の天使はそれをひらりとかわした。それを見たアズラエルの部下が目を見開く。
「アズラエル様!?」
「……ラジエルの軍は強いか? ベリアル」
ベリアル、と呼ばれた天使はアズラエルの目を見て、ニヤリと笑った。
「ククッ、やっぱりバレたか。流石だよ、アズラエル」
「その程度の変身だ、わざとバレるようにしただろう?」
不敵な笑みを浮かべる天使の姿がぐにゃりと変わっていく。アズラエルは目を離さずにそれを見ていた。
少しウェーブのかかったプラチナブロンドの髪、中世の貴族のような服装、少し垂れている赤と青のオッドアイの男性。それが魔王ベリアルの本来の姿だった。
「相変わらずの慧眼だ。ま、俺も雑魚なんかより上物とヤりたかったし」
「私としては願い下げなんだがな。なんならルシファーにでも頼めばよかったんじゃないか?」
「そうなんだがね、まあ一度誘ったよ。そしたら彼、なんて言ったと思う?」
「断られたか」
ベリアルは目を細め、喉奥で笑う。
「いや、そんなもんじゃなかったね。俺でさえ予想外の返答が来たんだよ」
そして、大きく声を上げて笑った。
「お前が死んだらその上に跨って腰振ってやるよ、だとさ! 直前に、俺に蹴り入れて頭を踏みながら、笑ってそう言ったんだよ!」
狂ったような、そして楽しそうに笑うベリアルのその様子を見て、アズラエルは呆れて息を吐いた。
「イカれてるな。お前も、ルシファーも」
「ああ、そうだ。俺自身それなりにとは思ってたがね、ルシファーは予想以上だよ! あのイカれっぷり、ありゃあたまらないね! 久しぶりの逸材だ!」
「お前にそこまで言わせるとは……天界で見たのは氷山の一角、いや、一欠片だったか」
ゆっくりと舌なめずりをするベリアルを見て、アズラエルは大槍を一振りした。
「どちらにせよ、倒させてもらおう。そこまでいかなくとも、しばらく動けなくはなってもらうぞ」
「ああ、イイね……アズラエルとこうして、久しぶりにやりあえるのはとても興奮するよ」
喉奥でくつくつと笑うベリアルに、アズラエルは眉をしかめた。
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