第四話 行進の歌

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ガサ、という音と共に下級の悪魔数体が草むらから飛び出し、隊員達に襲いかかる。 「!」 「なに……!?」 (っ、間に合わない……!) 下級悪魔に銃口を向けるも、複数体いること。敵が空にもいること。何より、奇襲によって動揺したことにより、エラタオルの判断が遅れてしまう。 銃声が数発鳴り響いた。襲いかかってきた下級悪魔達は死に、地に伏せた。 「先輩、大丈夫ですか……!」 隊員の1人が、心配した様子で熟練の隊員に駆け寄る。  しかし熟練の隊員は、今しがた自分を助けた相手を思い切り殴った。 「っ……?」 殴られた隊員は、唖然として目を開いている。そんな様子の後輩に対して、熟練の隊員は胸ぐらを掴んだ。 「馬鹿野郎、お前なんて事を……!!」 次の瞬間、今しがた死んだ下級悪魔が耳をつんざくような奇声を上げた。それに呼応するように、上空からワイバーン達の声が聞こえてくる。 「え……」 「あの下級悪魔については、先日注意があったばかりだろうが!」 後輩の顔はどんどん青ざめていき、熟練隊員の表情からも焦りが滲み出ている。他の隊員達からも、冷静な様子は無くなっていく。 エラタオルの隊は、連携や判断力によって力を発揮する。その為、気持ちが動転したり、隊内で争いが起きたりすると、一気に攻撃力が落ちてしまう。判断力が鈍れば優先すべきターゲットを見失う。冷静さを欠けば、狙いが定まらなくなってしまう。隊長であるエラタオルにとっては、それが何より危惧するべき事だった。 (く、どうすれば……!)
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