第五話 失敗から成功まで

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多くの作戦を考え、実行した。全て失敗した訳ではなかったが、安定して成功する策は少なかった。  そしてある時考えた作戦と行動。死の天使に少数精鋭でそれぞれアンリとジャヒーを救出に向かわた。隠密行動よりも戦闘が得意なドミエルや他隊員には戦場で暴れてもらい、時間稼ぎと撹乱を行ってもらう。その間に自分は特定の層からある程度の時間をかけてコキュートスへ向かう。保険として自分の密偵に天界とルシファーの軍の動きを随時報告してもらう。これには少しでもルシファーを引き付けてもらうのもある。 怪しく思われない範囲でサマエルがやれるのはこの辺までだ。他の件に関しては大半お祈りになるが、ひとまずアンリとジャヒーの救出だけでもかなり有利になる。なんせダエーワの者と最古の魔王アンリ・マンユが味方につくわけだから。 (正直イブリースも不安要素はあるんだが……ルシファーの足止めが上手くいってれば、とりあえずは置いといても大丈夫だ) 何度もこの策を選んだが、現在のところこれが最も安定しており、途中の細事は違えど望む結果を一番多く出している。もしこれで失敗したら原因を確認し、それを補える行動や策を考えるだけだ。 (考え直しが起きないのが一番だがな) それにこの策で駄目だった時も、二、三回試したら成功したこともあった。その場合は大抵が手の届かない所か自分の失敗のどちらか、不確定要素の発生が原因だった。  例を挙げるなら、サマエルに私怨があるサンダルフォンとサマエルと殺し合いがしたいというカマエルが何故か出陣前というタイミングで同時に自分にかかってきたせいで失敗した時だ。サマエルは本気で殺してやろうかと思った。その時に本気で殺したが。 とにかく予想の斜め上を行くようなことが起きなければ大丈夫。そう思いながらサマエルは大鎌を担ぎ、足を進め始めた。
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