4人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんとも素晴らしい御演説でした、ルシファー様」
ルシファーの後ろからパイモンが声をかける。ルシファーはそれを鼻で笑った。
「俺のために死ねって言われんのを喜ばれるとはな。まあいいさ。見せしめする手間が省けた」
「この期に及んでルシファー様に逆らう者などいるはずがありません。そうであるとするならば、その者は天界に与する者。裏切り者です」
ルシファーは暗い空を見上げて笑った。
「……裏切り者には死を。そう言ったからな」
そう呟くと少し伸びをし、パイモンの後ろにいるガープの方を見た。
「軍はいつでも行けるか?」
「はい。ルシファー様の仰られた通り、先発軍の状況に合わせて軍を動かします」
「ああ。頼むぜ? 西闘将ガープ」
目を細めて微笑むルシファーから目をそらすように、ガープはルシファーに礼をした。
「ルシファー様の意志と御心のままに」
「オーケー。んじゃあ、俺も少し運動してから席に着くかな」
そう言うとルシファーは右手にクレイモアを出し、肩に担ぐようにする。剣が現れた瞬間、その場にいた者は皆その身を震わせた。
剣から感じる大量の呪い、怒りや憎しみは、力のある悪魔でさえ顔を顰めた。
「ちゃんと、手筈通りにな。アイツら……ダエーワの奴らとベリアルとかも頼むわ」
そう言ってルシファーは数歩歩くと、その場から霧のようにゆらりと消えた。
最初のコメントを投稿しよう!