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片手に大鎌を出して肩に担いだサマエルを見て、サバオトが呟くように言った。
「……サマエル様は、単独でとにかく下に向かうと」
「ああ。今回の戦いを終わらせるなら軍を殲滅するよりも、ルシファー自身を何とかした方がいいからな」
「今は最下層にゃ空間操作でも一発じゃ行けないから、途中の層からスタートだろ?」
「そうだ。それに作戦の事も考えたら、私は単独で動くのがベストだろう。上位の天使の動きは警戒されてるはずだ。下手に救出に向かう方が危ない」
サマエルの様子を見て、男は呆れるように息を吐いて言った。
「そもそも、アンタの本気の戦い方は乱戦じゃ危険だろ」
「ああ。味方が、な」
サマエルは4人に背中を向ける。
「お前は偵察を。……それぞれ、無事に生きて戻れ」
そう言い、サマエルは指を鳴らしてそこから消えた。男は肩をすくめた。
「オレ、ガチの単独行動になんだけど。それで無事に生きて戻れとかさあ。めちゃくちゃ過ぎない?」
「報告からするに、単独で6層まで行って戻ってこれたのだろう? ならば多少は問題無いはずだ」
そう言ってドミエルは刀を抜く。エラタオルは二丁の拳銃をスカートから出し、サバオトは拳で手のひらを叩いた。
隊員達を見て、ドミエルは声を少し張った。
「総員、出撃」
隊員達はばらばらに了解と返し、走り出す3人の後に続いた。
その背中を見送り、一人残された男は息を吐いた。
「熱いねぇ。んじゃ、オレも行きますか」
そう呟くとしゃがみ込み、両手で足元の影に触れた。すると男の手はまるで水に入ったように影に沈む。両手を影から抜くと、黒いダガーが握られていた。
「あくまでオレらしく、ね」
そう呟くと、男は駆け出した。
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