ー side 亮介 ー

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『今日のお天気は、晴れのち雨。夕方からは天気が崩れ、久しぶりの晴れ間も長くは続かない模様。雨はその後週末まで続く予想で…………』  梅雨、真っ只中。  久しぶりに朝からいい天気だと思っていたけど、夜にはまた雨に戻るらしい。  ここ最近、特別目立った仕事もなく家でぐーたらな生活を送っていた俺だが、天気もいいからたまには出掛けようとせっかく朝早く起きてきたのに、この天気予報。  出鼻を挫かれた気分だ。  それでも、雨が降り出すのは夕方からだと言っているし、日中は雨を煩うことなく遊べるということだ。小形が最近馬鹿ハマリしているゲームソフトでも買いに行こう。ついでにペットショップにでも行って癒されまくってくっか。 「いってきまーす」  高校生になったばかりの妹が弁当を鞄に詰め込み、短いスカートを翻してリビングを出ていく。 「傘持ったかー!?」  母がキッチンから唸ったが、妹は玄関で「いらんでしょー?」と返答し、天気予報も母のお節介も無視して家を出て行ってしまった。夕方、びしょ濡れになって帰ってくること間違いない。  俺と同じように高校でバスケをしている妹。部活動をしっかりこなして帰ってくる頃にゃ、天気予報的にはもう雨だ。ご愁傷様。風邪ひいても兄ちゃんにだけは伝染(うつ)すなよ。まじで。 「亮介。あんた今日早いやん。仕事?」  喧しい妹が居なくなった家。ダイニングで何をするでもなく座っている俺に、母が卵焼きと白ご飯、焼き鮭と納豆を出してくれた。 「あ、ありがと」 「豆食べる? 五目豆」 「うーん……、いや、納豆あるしいいや」  付けっぱなしのテレビは天気予報から朝のニュースへと変わる。 「ラジオか?」  母に尋ねられたけど首を振った。 「いや、今日もオフ。ラジオの収録は明日。けど、明日の仕事もそれだけかな。今ほんと暇だから」 「……どもないの? code」 「大丈夫だよ。俺は暇だけど、メンバーはそこそこ仕事してるよ、たぶん」  乾いた笑いを頂いたことはここでは伏せておこう。 「ほんで、今日は何すんの?」  母が俺に付き合うように目の前の席につく。 「今日? 買い物行こうかなぁ。雨が降る前には帰ってきたいけど」  窓の外を見つめ、本当に雨が降るのか怪しいくらいに晴れている朝の陽射しに目を細めた。 「あ、買い物行くなら食器用洗剤と歯磨き粉買ってきてくれへん? お金渡すし」  使いっパシリか。別にいいけど。ついでだし。 「それくらいお金いらないよ」 「そぅ? ありがとうなぁ。ほな、よろしく~」
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