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瑠璃子の認識だと口付けは愛を確かめる行為、眠り姫が目覚める儀式めいたもの。それが重なって早々、歯列をこじ開け舌を差し込まれる。
「っ、はぁ、く、苦しい」
逃げ惑う舌は絡め取られ、呼吸が出来ない。
「馬鹿ですね。鼻で息をすればいいじゃないですか?」
肩口を叩かれた鷹司はもっともな対処法を告げると、今度は瑠璃子の顔中を舐める。額、鼻、頬と輪郭をなぞられれば女の本能がくっきり浮かび上がり、しとどに濡れたそこが疼く。
「やぁ、こんなの、わたしじゃない」
瑠璃子はかぶりを振る。口付けを浴びながら彼の指が奥を掠めるのを期待してしまうなんて。けれど一度達してしまわねばこの熱は静まりそうにない。
彼女が股を擦り合わせるのをみ、鷹司は微笑む。
「快楽に弱いのは悪い事ではありませんよ。僕みたいな潔癖症は生きづらいだけ」
「は、あなたが潔癖症? 何処が?」
「潔癖症ですよ」
散々瑠璃子を舐め回しておきながら潔癖症とはいささか信じられないが、冗談を言っている様子はなく真顔だ。状況に流されやすい瑠璃子を真っ直ぐ見詰めてきた。
きっとこんな真似をしなければ鷹司は美丈夫として映ったであろう。
「そろそろイカせて差し上げましょうね」
仕上げと言わんばかり、鷹司は瑠璃子が良く鳴く箇所を一気に責め立てる。
「あ、あっ、あぁ! んぁっ!」
「ほらイキなさい」
「んあ、ひぅ、あぁ!」
瑠璃子はガクガク震え、否応なく高められた生理的欲求を開放した。初めてなのに潮まで吹いて。
ふ、と意識が消えていく瞬間、瑠璃子は鷹司が悲しそうな顔をしている気がした。
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