奈落と堕落

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「ゲホ、ゲホ、うぇっっ!」  無遠慮に性を放たれた大半を吐き出す。瑠璃子は絡みつく精液の匂いに目眩がして床へ崩れる。 「全部飲んで下さいって言いましたよ?」 「そ、そんな、む、無理ーーきゃ!」  鷹司は俯く前髪を掴み、精液を回収させようと嘔吐の溜まりへ倒した。 「零してしまった分を舐め取りなさい。勿体無いでしょう?」 「……い、いや、床を舐めるなんて」  まして吐き出した精液を舐め取るなど。 「そんなの犬みたいじゃない、嫌よ。わたしは犬じゃない!」  鷹司は瑠璃子の背に膝を乗せ、起き上がるのを許さない。その際、下半身を整える。 「床を舐めるのがそれほど堪え難いとは、僕には瑠璃子ちゃんの価値観がよく分かりませんね。瑠璃子ちゃんはとっくに犬、いいえ犬以下の扱いをされているのに」  押さえ付けられながらも懸命にそっぽを向く為、プラチナブロンドが吐瀉物を拭き取った。 「……分かりました、無理強いしてヘソを曲げられても困ります。舐め取らなくて結構ですので、とある催しに同行して頂けませんか?」  鷹司は溺れる一房を掬い、シャツで汚れを拭うと交換条件を持ち掛けてくる。
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