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職場の前で仕事が終わるのを待っていたら、拓真に会えるかもしれない。オフィス街にたくさんの人が行き交う中、私は拓真を待った。
オフィスビルから出てくる拓真の同期を見かけた。確か、山本くんだ。私は考えるよりも先に身体が動いた。
「すみません、大川拓真さんはまだ社内にいますか?」
急に話しかけられて、山本くんもびっくりしていた。
「あ、大川は福岡に出張で、今日は帰ってこないですよ」
「そうですか……ありがとうございました。ちなみにいつ戻られるか分かりますか?」
「う〜ん、仕事次第ですかね。詳しくは分からないです」
私は拓真の職場を後にした。電話に出なかったのは仕事が忙しかったからかな。それとも移動中だったとか。そうだ、きっとそうだ。拓真が私をこんなに無視するなんてありえないよね。良かった、少し気が楽になった。
あれから未だに拓真と連絡が取れずにいる。ずっと連絡欲しいってLINEは送っている。既読にすらならなくなった。電話も何度もかけたのに、いつの間にかプープー音しか聞こえなくなった。もしかして拓真が私をブロックや着信拒否している?
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