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拓真、一体どうしちゃったの? 私たち、あんなケンカで終わってしまうような関係だった? もしかして、私の気持ちが重かったのかな? 拓真、もう一回ちゃんと話し合おう。そうすればお互いに誤解が解けるんじゃないかな。
私はただ会いたい一心で、拓真のアパートまで来た。家が汚いからって、一度も家に入らせてもらったことはなかった。でも、来ちゃった。拓真、やっと会える。会えるよね?
高鳴る胸は抑えられない。緊張してチャイムを押す指も心なしか震える。
ピンポーン……。
拓真の部屋の中に響くチャイムの音が、虚しい余韻を残していた。
「拓真、いるんでしょ。拓真、開けてよ」
ドアノブを回すけど、鍵がかかっていて開かない。どうして会ってくれないの。どうして。
何度かドアノブを回すけど結果は同じ。あぁ……私たちは本当に終わってしまったのかな。ドアロックが私たちを隔てていて、心まで閉ざしているようだ。
諦めて帰ろうと、アパートを後にした。振り向くと拓真の部屋の窓から明かりが漏れている。居留守を使ってまで会ってくれないんだね。帰り道、いろんな思いが脳裏をよぎり、涙が落ちた。
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