会いたいから

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 どうしても会いたくて、拓真の職場のあるオフィスビルの前で、仕事が終わるのを待った。毎日待った。同期の山本くんにも何度も確認した。出張が多い会社だとは聞いていたけど、昨日は徳島、今日は岩手。拓真は仕事ができるから引くてあまたなんだね。  何日ぶりだろうか。オフィスビルのドアから出る拓真の姿が見えた。あまりの嬉しさで視界がぼやける。 「拓真!」  私はスーツ姿の拓真にかけよった。あぁ、また会えた……また会うことができた。  再会の喜びに浸る私とは裏腹に、拓真が怒りをむき出しにしている。 「お前、どういうつもりだよ」 「拓真、ちゃんと話し合おう、ね?」  拓真の袖を掴んだが、力任せに振り払われた。 「一切オレの目の前に現れるなって言ったよな?」 「誤解だよ。だからきちんと話し合おうよ」 「無理だよ! お前と話すことはないし、会いたくもない!」  ものすごく怒っている。怒りで空気までビリビリしそうだ。 「クマだってちゃんと直したから、また拓真に持っててほしいの」  カバンからクマの編みぐるみを取り出した。クマを見た途端、拓真は目をカッと見開いて、私から奪い取ったかと思えば、それを地面に投げつけた。
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