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「と、言うわけで、きちんと考えるって事は伝えたけど、具体的にどうしたらいいんだろ?」  ある日の夜、純一はまた、哲朗と電話をしていた。哲朗はうーん、と唸って、今の課題を整理する。 『まずは、純一が男とも付き合えるかって事と、どちらの告白に答えられるかって事だな』  純一はしばらく一人で考えていたが、頭が爆発しそうだったので、恥を捨てて哲朗に全部話し、解決策を求めた。  哲朗はからかったりせずに聞いてくれて、真剣に考えている。 『純一、司や湊にスキンシップされるのは、嫌じゃないのか?』  そう言われて、純一は考える。確かに、人目がある所でされると恥ずかしいのでやめて欲しいけど、嫌かと言われればそうでも無い。 「恥ずかしいだけで、嫌じゃない。けど、それくらいのスキンシップって、友達でもするもんじゃないのか?」  純一にはまともな友達がいなかったからか、普通の友達というものが分からない。  いや、しないよ、と哲朗の呆れた声がする。 『せいぜいハイタッチとか、すごくテンションテンション上がった時に肩を組むくらいか? 少なくとも、俺はした事もされた事もないな』  純一は驚く。では、司たちのスキンシップは、少し度を過ぎている事になる。 (でも、嫌じゃないしなぁ) 『いっその事、スキンシップがどこまで許せるか試してみるとか? いや、お前が今の時点で嫌じゃないなら、もう男もいけるって事なのかも』 「えー……」  そんなぁ、と純一は眉を下げる。哲朗にそう言われてしまっては、その可能性で考えてみるしかないじゃないか。 『や、ホントに。付き合うって、相手をどれだけ許せるかだから。これは俺もエリカと付き合って、痛いほど感じさせられた。スキンシップの面からでも、試してみても良いかもしれないぞ。それに……』  哲朗は意味深に声を潜めた。 『他人に触られるのって結構気持ち良いしな』 「……っ! おま、からかってるだろ!」  純一が弾かれたように言うと、哲朗は笑う。  やっぱりからかわれていた、と純一は口を尖らせると、笑いを堪えた哲朗がごめんごめんと謝ってくる。 『まあまあ、とりあえず、人生はトライアンドエラーだ。色々試してみろよ』  そう言うと、哲朗はエリカと電話の約束があるから、と電話を切った。 「アイツ……半分楽しんでるな」  どうして純一の周りの人間は、純一をからかって遊ぶのだろう。一つため息をついた。  とりあえず、彼から問題解決のヒントを貰ったので、それを試してみるしかない。  まずは、相手をどこまで許せるか、だ。  純一はベッドに横になり、それをどうやって測るのか考える。しかし慣れない頭を使うと、すぐに眠たくなってしまうのが困りもので。 (だめだ、明日また考えよう)  純一はすぐに眠りに落ちた。
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