電話口

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電話口

彼女の電話を聴いている。 俺は眠い。 だが、向こうも眠いのに、譲らない。 お互い、孤立していた。 構って欲しいのがミエミエだった。 直美というオンナは人間として、良いか悪いか?という二極化したら、おそらく後者だろう。 …しかし、私は変な人間だから、そういう悪い人ばかり、好きになってしまう。 極端な事を言えば、犯罪者のあの瞳が、真っ赤な、あの姿が、ゾクりと震える。 そう云う人間が1人だけいたので、私は彼の肩を持ってしまった。 悪いことばかりしている。 たまに常軌を逸する。 そんな時、私には、どう見ても、そんな人間が悪いと思えず、シロではないか?と誤解していた、と知る。 最近、自分が困った人間なのだと気づいた。 悪い人は悪い 良い人は悪い人だったのだから、僕の中で認知の歪みが起きていた。 だが、其れが愛だった。 僕は、どう見ても聴いても、目が曇るニンゲンを、掬って(すくって)いたのだった。 人が良過ぎる。 直美の様に、DRYな面も無いと生きられないと知った。 直美はCOOLだ。 タフだ カッコいいオンナだ。 怖い 鬼だ。 手厳しい。 だが、ドMな僕はマグロで、騎乗位のオンナに、侵されているみたいな気分になった時、アヘ顔になってしまって、そんな狂って逝く自分が、ecstasyだと想った。 其れは、一種の錯覚だった。 荒ぶっていた時に、自室の書斎で、彼女は私に跨ったまま、押し込んだ。 その時、私はまるで自分がオンナで、直美が男性に視えてしまったのだった。 感電していたのだろう 彼女の脳内は、超伝導ナイト倶楽部*1だった。 注釈*1村上龍作品:浣腸や、スカトロモノなどの、変な性癖の女性を惨たらしく描いた、刺激的一冊。 当時から、包茎のpenisが生えた、夢野久作のドグラ・マグラに感じ入っていたので、そう云う古い文献、例えば岩波文庫などにシロクロで、そう云う活写が、モノクロームで映っていたものを、大きな書店で目撃し、カンフル材にした事実もあった。フタナリ等は、嗜好品だった。そのリビドーに恥じる過去は無い。
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