とある 守護霊の話。

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彼女の反動を少しでも、抑え込むため、会話は、早めに切り上げた。 でも、彼女の反動は、思ったより大きかった。 現実世界と非現実世界の他に、もう1つ違う世界が増えてしまった。 そこは、大きな術式を使う前から、現れていたもので、 現実世界と非現実世界を、混ぜた世界で、幻覚に近い世界だった。 彼女は、術式を使う前は、幻覚の世界に入ってしまっても、 そこで、立ち止まり、意識を集中して踏みとどまっていた。 術式を使ったせいで、その幻覚世界は、歪みが生じて、 その世界が、現実世界と曖昧なものとなった。 彼女は、その幻覚世界で、強い意思を持っていたため、 前は、すぐに現実の世界に戻れていた。 しかし、幻覚世界が、早く写真を見るように、移り変わりが、早くなっていくため、 彼女は、その場に立ち尽くす事が出来なくなって、 強い意思で、現実世界に戻る事が、日々難しくなっている。 俺が、指し示した日時は、数か月後だった。 それまでにも、彼女の身体と精神は、蝕み続けていく。 俺は、なんとか、あと数か月間、彼女が、普通を保っていって欲しい。 俺は、俺の願いが、彼女に届くようにと、ここに書いておこうと、考えた。 完
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