とある 守護霊の話。

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ただ、彼女は、そういう事が出来るほど、器用な性格ではないため、 俺と会話する為に、また、あの大きな術式を使ったのだ。 それまでに、彼女は、自力でなんとか、現実世界中心の生活に戻るための努力をし続けているのを、俺は、ずっと、近くで見てきた。 その度に、失敗に終わり、毎晩、泣きつくしていた。 泣きつくせば、泣きつくすほど、現実世界と、非現実の境界線が、見えなくなっていく。 さらに、非現実世界に埋もれて行くのだ。 それも、彼女は、直感で感じていたのだろう。 とうとう、あの大きな術式を再び、使ってしまった。 なんとかして、非現実世界から抜け出したい。 その為に、反動が、後から来る事を知っておきながら、使ったのだ。
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