古紙の日

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 翌朝、私は古紙の束に三巻を加えて、回収業者の人に直接手渡した。 「確かに、再生してくださいね。」  私のその言葉に、業者の人はキョトンとした顔で頷いてくれた。  古紙の束を捨てた私は、その足で会社に向かった。自然と歩くスピードが速くなった。悔しさが苛立ちへと変わっていた。  なんだよ、アイツ。  まじで、転生する気なの?だから逃げたの?  結婚する覚悟もないのに? 私は苛立ちが止まらず、走り出した。  転生なんかさせない。  お前なんか古紙になってぐるぐる社会のために回っちまえ。  ダンボールなんか七回は使えるらしいからな、回りまくれや。 私は公園で叫んで鳩が逃げ出した。  お前の思い出も  お前の妄言も  お前の願望も  お前の魂も  ぜーんぶ再生されちゃえよ
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