古紙の日

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 カレシに捨てられたので、悔しいからもらった手紙をすべて古紙の日に捨てようとした。朝玄関まで持ってきたところでカレシのお義母さんから彼が車に轢かれて死んだと聞いた。嘘だと思って病院に行ったら本当に死んでいた。  私は仕方なしにお義母さんとカレシの家の整理をすることになった。頼まれて渋々向かうと以前遊びに行ったときとまるで違って、ほとんど空っぽだった。私たちが出逢うきっかけとなった『異世界転生したら自分が竜騎士になるなんて』(通称イセリュウ)だけはきれいに並んでいた。 「あの子、昔っから冒険が好きだったからね。今ごろはドラゴンの世界を旅しているのかな。」  お義母さんは小さく呟いた。目元が潤んでいた。私は彼のお気に入りだった三巻をいただいた。
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