山道でのこと

1/1
前へ
/1ページ
次へ

山道でのこと

 フィールドワークのために、木が生い茂る山道を歩く。  突然空が暗くなった。分厚い雲で陽の光が遮られたのだ。  このままだと雨が降るかな。そう思って足を止めても雨が降りはじめない。  それなら先に進むかと周りを見ると、急に進むべき道がわからなくなった。  慌てて地図とコンパスを出して道を確認する。けれども、頭がぼんやりとしてうまく地図が読めなかった。  これはまずい、疲れてるな。甘いものでも食べて一休みした方がいいかもしれない。そう思って荷物を降ろして座り込むと、突然声が聞こえた。 「用心深いやつだな」  驚いて周りを見回しても人影はない。  あの声はなんだったのだろう。ぞっとしていると陽が出てきて、道がわかるようになった。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加