188人が本棚に入れています
本棚に追加
それに、9月も終わりに近い今転入の話なんて。
何でこんな中途半端な時期に?
謎だらけだ。
「何で? どうして?」
「どういう理由でそんなことになってるの?」
二人で驚いていると、今度はお母さんが軽く驚く。
「え? さっき外で話をしていたんじゃないの? なかなか家に入ってこないと思ったら集まっていたから、てっきり話し込んでいたんだと……」
いや、寧ろまともな話なんて全くしてなかったんだけど……。
「声掛けられただけだよ! 自己紹介すらしてなかったし。勝手に話進めないで!」
焦りと少しの怒りを滲ませた声で愛良が叫ぶと、お母さんは「あはは、ごめんなさい」と笑って誤魔化した。
そして仕切り直しとばかりに改めて紹介が始まる。
田神さんと赤井に私達二人を簡単に紹介してから、私達に田神さんのことを紹介してくれる。
「田神さんは城山学園の先生で、今日は理事長の代理としていらっしゃったそうよ」
ふーん、と思いながら視線を向けると丁度目が合い、ニコッと微笑みが返された。
「……っ」
一瞬息を止めてしまう。
爽やかイケメン教師にそんな風に微笑まれたら、誰だってドキッとしちゃうよね?
心臓には悪いけど、こんな先生がいたら学園生活も楽しいだろうなぁ。
と、他人事の様に思った。
「それで、愛良に城山学園への転入の話があるんだって。でも結局は愛良がどうしたいのかでしょう? 愛良がいない場所で決める話じゃないし」
だから私達の帰りを待っていたんだそうだ。
ついでに言うと、その間にはぐれた赤井を探しに行くと言って田神さんも外に出たらしい。
最初のコメントを投稿しよう!