学園への勧誘

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 それでさっきの状態になったわけね。  お母さんの話で大体の流れが分かった。  それにしても待ち伏せているように見えた赤井が実ははぐれていただけだったとか……。  何コイツ? 実は方向音痴?  美形なのに方向音痴、笑えるんだけど。  ちょっと吹き出しそうになったけれど、何とか耐えた。  とにかく、愛良が城山学園に転入するという話なわけだよね?  そんなの、答え決まってるじゃん。 「城山学園に転校しろってことだよね? そんなの嫌に決まってるじゃん」  憤然(ふんぜん)と、私の予想通りの答えを口にする愛良。  お母さんも「やっぱりねぇ」と言っている辺り答えなんて分かり切っていたに違いない。  でも、片眉をピクリと上げた赤井が何かを言おうとした。  それを手で軽く制した田神さんが代わりに口を開く。 「申し訳ないのですが、これは決定事項なのです」 「え?」 「城山学園はエリートの学校だと言われていますが、実際はかなり特殊な学校でして……」  そう話し始めた田神さんの言葉によると、城山学園はある特異体質の人間が集められているんだとか。  何かどっかの漫画か小説にでもありそうな話だなぁと、少し胡散臭く思いながら聞いていた。 「そして詳しくは話せませんが、彼らは周囲に良くも悪くも影響を与えてしまうんです」  だから学園で守らなくてはならないのだと彼は言う。  そこまで話し終えると、お母さんが神妙な面持ちで質問した。
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