188人が本棚に入れています
本棚に追加
「……それは、愛良もそうだと言っているんですか? 愛良はそんな特殊と言われるほど周りに影響を与えたりはしていないはずですが……」
お母さんの言葉に、私と愛良は揃って頷く。
うんうん、ないない。
愛良は普通の一般人だもん。
なのに田神さんは――。
「今まではそうでしょうね。でも、これからはそうもいかなくなります」
キッパリと断言した。
真面目な顔で言っているし、嘘や冗談を言っている様には見えない。
でも、そんな曖昧な説明で納得出来るはずもない。
当然お母さんも「でも」と反論する。
「突然そんなことを言われても信じられるわけ――」
「あー面倒くせぇ!」
今まで黙っていた赤井が突然叫んでお母さんの言葉を遮った。
「だから言っただろ、斎。説得なんて無理だって」
田神さんにそう言い放つと、赤井はお母さんの肩を掴み視線を合わせる。
突然のことでただ驚く私と愛良。
赤井は一体何をしているのか。
何か良くないことをしているんじゃないかと思ったときにはもう遅かった。
気づくと、お母さんは目を見開いた状態で固まっていた。
顔は目の前の赤井の方を向いているのに、その目は何も見えていないかのように焦点が合っていない。
明らかに様子がおかしい。
「ちょっと! あんたお母さんに何してるの⁉」
最初のコメントを投稿しよう!