学園への勧誘

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 愛良の言葉を後押しするように、私は愛良の近くに行ってその腕を抱くように組んだ。 「そうだよ! 愛良を一人で行かせられるわけないでしょ? どうしてもって言うなら私も一緒に行くから!?」 「うんうん、お姉ちゃんも一緒じゃなきゃ絶対行かないからね!」  二人でそう宣言する。  かなり特殊なところらしい城山学園。  特別な人しか入れないというなら、平凡な私なんて入れるわけがない。 「はあ? 転入するのは愛良だけだ。お前なんかお呼びじゃねぇんだよ」  赤井はさっきまで被っていた猫を引っぺがして私は必要ないと言う。  お母さんがちょっと目を丸くしてるけど、それは置いておこう。  そうそう、一緒になんて無理に決まってるんだから。  だから愛良のことも諦めて欲しい。  思った通りに進みそうな様子にほくそ笑んでいると、田神さんが「いや……」と顎に指をあてて呟いた。 「聖良さん、だったね? 良いよ。君もついでに転入すると良い」 「…………」  しばらくの沈黙の後。 『ええぇぇぇ!?』  私と愛良、そして赤井の叫びが重なった。 「何で? え? どうして?」 「え? 良いの? でも何で?」 「いやダメだろ! バカなこと言うなよ斎」  三者三様の言葉を発する。  田神さんが答えたのは赤井の声にだった。 「バカなことじゃないよ、零士。見て分かっただろう? 愛良さんほどではなくても、聖良さんも十分特殊と言える人物だということが」  田神さんの言葉に赤井は一瞬言葉に詰まる。  私の何が特殊なのかサッパリ分からないけれど、赤井や田神さんには見れば分かるらしい。
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