学園への勧誘

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「愛良、今転校するって言った? 何で? どういうこと?」 「何でって、あたしにとって一番大事なのはお姉ちゃんと同じ学校に行くことだもん。お姉ちゃんも一緒なら平気」  問い詰める私に愛良は可愛いことを言ってくれるけど、今の状況では素直に可愛いと思えない。  私の様子に愛良は不安そうな顔で聞く。 「お姉ちゃん、一緒に来てくれるんだよね……?」  上目づかいの愛良。  うっ、可愛い。そして断れない。 「う、うん。もちろんだよ。愛良一人では行かせられないもん」 「良かった、ありがとうお姉ちゃん!」  キラキラした笑顔に“やっぱり行かない”とは到底言えない。 「良かった。これで話はまとまりましたね」  田神さんが笑顔でそう締めくくった。  何故か私も転校することになったけれど……。  愛良を転校させないようにしていただけのはずだったのに……。  あれ? つまり私、愛良に巻き込まれた?  後戻り出来ない状態に、私は途方に暮れていた。
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