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「とにかく、気持ちの面で認めることはやっぱり今でも出来ません。ただ……そうやって聖良先輩から離れている間にこの間の事件が起こってしまった」
「っ!」
ハッキリとは言わないけれど、この間の事件と言えば私がH生の男子生徒に襲われた事件のことだろう。
「あの時思ったんですよ。俺達がそばにいれば、って。……聖良先輩。もう一度、俺達にあなたを守らせてくれませんか?」
「お願いです。少なくとも僕たちのあなたへの思いは確かなものだったんです。せめて、その思いのままに――あなたを守りたいという気持ちだけでも、貫かせてください」
「俊君……浪岡君……」
もったいないな……。
私には、もったいなさ過ぎるよ。
もったいなさ過ぎて、私のことは気にしないでと言いたくなったけれど……。
でも、彼らの願いを叶えることが報いることになるんだと思ったから……。
「うん……よろしくね」
涙があふれそうになるのを抑えて、そう返事をした。
そうして二人とも和解出来たことで、ほんの少しだけど学園内での居心地の悪さは緩和された。
本当にほんの少しだけれど、気持ちの面ではかなり軽くなった気がする。
田神先生とはまだ話せていなくて和解も何もないけれど……。
でもそんな中でも日は経っていて――。
愛良と零士の血婚の儀式まであと三日となった頃。
ついに事件は起こってしまった。
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