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血液パック
「さ、飲むぞ」
そう覚悟を決めたように意気込んだのは目の前に座る忍野君。
気合を入れて赤い液体が入った飲料パックに直接口をつけた。
それを見ながら私と永人は飲料パックの中身をグラスに注いでいく。
今日は吸血鬼になってしまった私が初めて血液パックの血を飲むということで、それを聞きつけた忍野君が何故か先輩風を吹かして「一緒に飲もうぜ!」なんて提案をしてきた。
でもその割に彼はまだ慣れていないのか、一気に血を飲み干した後物凄く気持ち悪そうにしている。
「うぅ……やっぱり気持ち悪いって思っちまうなぁ……」
と呟きながらも、先輩風を吹かした手前もあるのか幾分表情をキリッとさせて私を見た。
「香月も元は人間なんだから、多分血を飲むことに抵抗があると思うんだ。でもとりあえずこうやって一気飲みすれば何とか飲めるから」
なんてアドバイスしてくる。
「あはは……そうだね、一気にいってみる」
一応そのアドバイスを聞き入れつつ、多分私は忍野君ほどの抵抗はないんじゃないかな? と思った。
「聖良、指貸せ」
隣に座る永人が短くそう言い、差し出した私の手の親指を少し切る。
「っ」
わずかな痛みに少し眉を寄せてから、私は永人の分のグラスに自分の血を一滴落とす。
そして永人も同じように自分の指先に傷をつけ私のグラスに血を一滴落とした。
「……ちなみに何してんだ、それ?」
その行動を一通り見届けてから忍野君が聞いて来る。
「ああ、これはね」
と、私は自分の分のグラスを持ちながら答えた。
「主に永人に必要なことなんだけど……。永人、私の血以外はあまり飲めなくなってて……」
「ああ、そういえば“唯一”を見つけた吸血鬼は相手の血しか受け付けなくなることがあるって聞いたことあるな」
忍野君はどこからかそんな情報を聞いていた様で、そのままスムーズに話が進む。
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