血液パック

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「でも私、嘉輪の純血種の血が入っちゃったでしょう? 純血種の血は普通の吸血鬼には強すぎて危ないんだって」 「へぇ~それは知らなかった。やっぱり純血種って色んな意味で特別なんだな」  その相槌にコクリと頷いて続けた。 「だから、こうやって血液パックに私の血を一滴だけ混ぜて慣らしていけばいいんじゃない?って嘉輪が」  説明しながらそれを話してくれたときの嘉輪を思い出す。  自分の母親もそんな感じで慣らしていったんだと説明してくれた。  ただ、その後で何とも言えない表情をしてなにやら呟いていたんだけど……。 「お父さんには別の目的もあったみたいだけど……」  って、どういう意味だろう?  まあとにかく、ちょっと混ぜるだけでいいならやってみるのも良いかも知れないということで今回試すことにした。 「それと、私にとっても永人は“唯一”だから、こうした方が飲みやすいんじゃないかって」 「ふーん……」  そんなもんなのか? という感じの相槌を打った後、忍野君は「ん? でもさ」と疑問を口にする。 「香月の場合は直接吸血でも良いんじゃないか? 別にどうしても人間の血じゃなきゃダメってわけじゃなかったはずだろ?」 「まあ、それは……」  聞いた話でしかないけれど、吸血鬼の血も結局のところは人間の血が変化しただけだから、食料としては成り立つのだとか。  だから忍野君の言う通り、私の場合は永人の血を直接吸血してもいいってことになる。  永人は特に拒んだりしないから、違法吸血にもならないし。 「俺は相手がいないから分かんないけど、直接吸血の方が飲みやすいって聞いたぞ? なんで血液パックで飲むんだ?」  それは純粋な疑問。  でも純粋だからこそちょっと話しづらかった。 「……その……一度は試したんだけどね……」  と答えつつ言葉を濁していると、今まで忍野君を半無視状態にして黙っていた永人が私の顔に手を伸ばしてきた。 「俺はそっちでも良いんだけどな?」  そう言ってニヤリと笑い、近づいてきた彼の手が私のあごをスルリと撫でる。  妖しい手の動きに以前試したときのことを思い出し、私はカァッと顔全体を赤くした。
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