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城山学園はここからそれほど遠い場所にあるわけじゃない。
でも山の上にあるから、道のりとしては遠くなってしまう。
そのため全寮制で、山のふもととなるこの辺りに制服姿で出歩く生徒はいない。
珍しくてもう一度よく見てみる。
基本は黒の学ランなんだけれど、襟から裾にかけて赤く縁どられている。
他にも同じ赤で、袖や脇にラインが入っていた。
男子がこの制服なら、女子はどんな制服なのかな?
ちょっと見てみたい。
でも見る機会なんてないだろう。
さっきも言ったけど、私達には縁のない学校なんだから。
さて。
それでその縁のないはずの人達がどうして私達の家にお邪魔してるのかな?
赤井とかいう男がさっき言った、吸血鬼がどうとかいうのはバカバカしすぎて信じる気にすらなれない。
コイツの言葉はとにかく無視だ無視!
なんか人ではありえないくらい早く動いた様な気もするけれど、トリックがあるに決まってる。
だから、私は田神さんが話すのを黙って待っていた。
でも私が聞きたかった言葉を口にしたのはお母さんだ。
「それで、愛良を城山学園に転入させたいという話でしたけれど……?」
『ええぇ!?』
私と愛良の声が重なった。
そりゃそうだ。色んな意味で驚きなんだから。
選ばれた特別なエリートしか入れない学園。
愛良のどこがエリートだというのか。
まあ、確かに可愛いし頭の出来も私よりはいいけれど……。
でもそれだけ。
もっと頭のいい人はいるし、人に自慢できるような特技があるわけでもない。
一体城山学園の特別って何を基準にしてるの? 謎だ……。
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