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時計を見て、人が動き出した、そろそろ終わりなのかな。
「なあ、階段コムから行こうぜ」
「先に行こうよ」
俺たちは先に階段を折りはじめた、俺たちと同年代の子たちがおりはじめた。
「いいね、浴衣」
「むらむらしちゃう」
「やべ―」
ぎゃははは
「すげーなにこれ」
「IT a party!」
音楽が鳴り、すごい人だ、明らかに、今上から降りてきた人たちじゃないのがわかる。
「亜矢ちゃ~ん」「早いねー」
「肉、肉!」「信ちゃん、食券」「かったもん!」
「はえーな」「社長お邪魔してまーす」「もう肉か?」「いい席取らなきゃ」
「はい、はい、食いすぎるなよ」「はーい、いこうぜ」
外でバーベキューが出来る、肉や野菜はセットで買える。もちろん食券で。
始めて、こんな風に騒ぐのも学校の外じゃなかった。
大人たちからは、ダンスを教えてもらい、おばちゃんたちと踊った、楽しかった。
お祭りも知らないから、夜店はめちゃくちゃ楽しかった。
よかった、楽しそうで。
お願いと来たときはどうしたんだろうと思ったけど、遊ぶお金が欲しかったのよね、無駄使い、これ以上はあげないよと二千円渡したけど、うまく使ったかな?
衛生面から引き渡しは集会場の中、焼くのは外。住民は各々、昨日から準備をしている人たちもいる。私たちはレンタル会社、この会社も取引会社、そこに頼んで、席を二十ほど作ってもらった、ビニルシートの上で、寝転がってはしゃいでいる小さな子たちを見るのもうれしい。早い人はもう五時ごろから食べ始めている人たちもいる。だから私たちはここから離れられないのだ。
「ビール、ありますか?」
「はい、生ですか?」
「生がいいです」
「現金ですか?食券があればください」
「はい、お待ち」
「社、社長!」
「驚かなくてもいいじゃない?」
「驚くでしょ、いいんですか?」
「おう、いっぱい食って飲んでけ!」
「はい、ごちそうさまです」
「よかったね盛況で」
「明日の片づけが大変だけどな」
「平気よ、去年もみんなが手伝ってくれたんですもの」
「そうだな」
「すまんの、肉はいらん、なんかあるか?」
「はい、あちらに、お寿司のコーナーがありますので、いかがですか?」
「ばあさん、すしじゃと」
「いいですね、いただきましょうか」
「せっかくの、券ですからね、いっぱい食べて行ってくださいね」
こっちも、ちゃんとしたお寿司屋さんが握ってくれている、それに、御老人でも楽しんでもらえるようにしている。
マンションだって、こんなにぎやかなこと好きな人もいれば嫌いな人もいる、だから、各家庭に入れたチラシには、食券がついていて、それで好きなものが買えるようになっている、迷惑料というところだ。
社長には、慰安旅行とかない代わりに、楽しんでもらえばいいと、こっちは、ホスト役でいいのだからと言って、みんなの所へ行かせた、ビールやジュースをついで回るだけでいいんだもの。明日から連休です、頑張れと背中を押した。
「お姉ちゃん、お肉、ください」
「はいどうぞ、券をください」
「はい」
「ばいばい」
「ばいばい」
お、なんか場にそぐわない人が来たぞ。
スーツ姿、会社の連中は今日だけは社長命令で、ラフな格好をしてきている、女子や、男性も浴衣を持ってきて会社で着替えて来た子達もいる。だから目につく。
誰だろう?
メガネを押し上げて、ぐるりと見ている。
あ、典君だ、まさかあの人が叔父さん?でも話に聞くより若い感じ。私の知っているネジネジの人よりだいぶ若いけどな。まあ忠典さんもそうだから不思議じゃないけど。
腕を引っ張って、あ、大貴ちゃん達も引っ張って何処行くの?
「亜矢さーん、セット追加―」
「ねえさっきの人は?」
「さあ、典の親戚とかって言ってたぜ」
「あそう、じゃあ、これと、後お酒もお願いできる」
「今日の肉最高!」
「そう、まだあるからね」
「はーい」
亜矢さんと言ってきたのは、弁護士の戸田先生とスタッフの方々。
「どうぞごゆっくり楽しんでいってくださいね、先生ちょっと」
彼は何者だと聞いた。
「あー、彼は警戒しなくていい、忠典君のお兄さんだ、本当のね、あの家族はいろいろと大変でね」
彼は母親が違うと言っていましたけど?
まあいろいろ複雑でね、でも彼の父親は北条義典、君が出会った正義さんのお父さんに当たる方なんだ。ねじネジの人のお父さん?
「え?それじゃあ、彼は、息子じゃなくて」
「ご兄弟になるんだ、そして、母親はいとこになる方でね。まあだからね、いろいろと大変でね」
何?それじゃあ、彼は、近親相姦で生まれた子?
それで、典君と、今あそこにいる方は、本当の兄弟?典君は母親が違うと言っていた。
「そう、彼は正義さんと母親は、正信君の父親の愛人」
正信って?
えっと、ああそう、君に奇形児とののっしった男。
「ハア?何それ!」
「そう思うよね、忠典の母親も典道君の母親も、もうこの世にはいない、自殺してね。これ以上の辱めは嫌だと残して、でもね、彼、典道君が一番変わっただろ?あんな笑顔、初めて見たよ」
「だからあんなに北条家にむき出しでいかるんだ」
「そういう事だ、まあ、彼が話したくないのは、何かあるんだ、待ってやってくれないかな」
「待てません、だって、私と彼、十歳離れているんですよ、聞きだしてやる、今日は勘弁しますけど」
「ハハハ、亜矢ちゃんには負けるよ」
「先生も生飲みますか?」
「いいね、いただこうか」
九時を過ぎたころ、音楽が消され、店も締め始めた。たった数時間のお祭りは終わった。
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