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こっちもお開きで人は帰りはじめていた。
みんなを見送り、住人はまた明日と言って帰って行った。
玄関を清掃、外の片づけは明日になる。
それでもだいたいの物は寄せて、動物に散らかされないようにしておいた。
たった三十分で、いつもの静けさがやってきた。
来年もできますように、小さな子たちが、騒ぎたりない若い男女に帰れと促すさまは笑いが出るほどあっかんだ。
「亜矢ちゃん、兄さんが早く来いって」
「うん、すぐ行く」
片付けて、管理人さんに挨拶、そしてエレベーターに乗った。
玄関にはいっぱい靴が脱ぎ棄ててある、それを直し、中へ。
「オーきた来た」
「お疲れ」
「お疲れ様でした」
亜矢さん泊めてもらうからねと、大貴ちゃん達は典君の部屋へ入って行った。
「亜矢、紹介するよ、井上和典、俺の兄貴、二つ上だ」
「初めまして」
「初めまして、そうか、君か、それは、使いやすいからしているの?」
「あーこいつ、医者なんだ」
「ごめん、興味があってね」
腕を見せた、荒れてるねと言われた。水仕事だし、夏は蒸れる。
「ケアしてもらえよ、体は大事だからな」
社長そっくりの優しい声にぞぞぞー。
なんかいい、です。
「あー、赤くなった」
「なってない!」
「酒飲んだか?」
「飲んでません、もう、いじめるな!」
ハハハと笑った忠典さんを見てお兄さんがこう言われた。
「こんなに笑うんだな、君のおかげかな」
そう言って下さった。
兄弟で、お酒を飲みながら話をしている、つまみを出して、私は家の中の事をした。
お兄さんは電車で帰るとおっしゃった、彼は送って行くとでて行った。
「いいな兄弟、こっちもいい関係だね」
三人で寝ている姿は、本当に子供らしい、タオルケットをかけ、テレビを消して。ドアを閉めた。
「フー寝る」
ねえ、お兄さん何処住んでるの?ベッドの上で、体にクリームを塗っております。
ああ、といって聞き覚えのある地名を言った。
へーそばだ。
「まあな」
「寝る前に、ちょっとお願い」
「お前、甘えてねえか?」
だめ?と可愛く、甘えてみた。可愛く見えてるかな?
「しかたがねえな」
「はい、はい」
腕を出し、クリームを渡した。
「本当だ、痛くねえか?」
「夏は仕方がないもん、ああ、でもこの頃外してる、みんなわかってくれてるから」
「そうか、右手」
「いいよこっちは」
「ほら、早く出せ」
手のひらから指を絡ませマッサージしてくれてる。なんか、エロいっす。
「あのさ、十月になったら、典君アメリカに行くんだってね」
「ああ、最初はそんな気なかったけどな、夏休み前に頼めるかって言ってきてな、それで兄貴に頼んだんだ」
「へー、どうしてかな?」
「どうして?まあいいか、お前のおかげだけどな、はい、終わり」
「ありがとう、私、なんかした?」
クリームを頭の上に置き、目覚ましに手をかけた。
「さあなー、さあ寝るぞ、目覚ましかけとけよ」
「はーい、なんかした?」
「考えるな、ない頭で考えてもしょうがないからな」
「えーひどい!」
彼の隣にダイブした。
寝よ、寝よ。今日はお疲れ様でした、消します。
電気を消した。
しんとした、なんか隣が震えてる。
隣を見た。
「プーは―、ダメだ、おかしい」
「なによ?」
「何でもねえ、チュウして」
「しないー」
「じゃあ、襲う!」
「いや~ん」
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