第二話

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記憶が始まるとそこには、近所の叔父さん叔母さんの存在があります。彼らは、私に生活の最小限の事を教えてくれました。親戚ではありません、ただお爺ちゃんと何かしら関係はあったようです。掃除、洗濯、料理はこの叔母さんに教えてもらいました。お風呂の入り方とか、人との接し方とかは叔父さんに聞きました、二個上のお兄さんがいて、銭湯なんかにも連れて行ってもらいました。だからさほど困っているという事はありません。 ただ普通がわからないので、それが困っているように見える様です。 それとおじいちゃんは関西にいたことがあるので、それで言葉を覚えてしまった私はたまに変な関西弁が出ます、これも普通じゃないと言うのがわかったのはつい最近です。 大きなお世話と言いたいのですが、それは言っちゃいけないと叔父さんに教わりました。 人の手を痛いほど握ったり、義手を奪われたりすると、私はその子を殴ったり引っかいたりしました。叔母さんは女の子なんだからしちゃいけないと言われましたが、理不尽なことに、私はどうしてと繰り返し聞きました。 殴ったら殴り返していました。 でも、それは終わることがないので、私が我慢すれば終わると言われました。 でも殴ってきたのは向こうです。私の大事な手を取り上げたのは向こうです。 私は何もしてないのに、言葉すら交わしていないのに、ただ通り過ぎたというだけで殴られた、だから殴った。 そんなことを繰り返しているうちに、叔父さんたちも面倒を見てくれなくなりました。でも今まで生きて来たんです、なんだかんだ言われながらも生きてきました。だからこの先も生きていけると思います。 そう思っています……。 思いたいです……。
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