第五話

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駄目だ、眠れない。 彼が寝息を立てるのを待ってベッドを出た。 テレビをつけ、イヤホンを耳にした。 久しぶりに見たアニメは、とてもきれいで、汚れてない純愛ストーリー。 「ずっと離れない」 そういって抱き合う二人。 そんなことできないよね。 なんか、見てたらつらくなってきた。 膝を抱え、ティッシュペーパーに手を伸ばした。 背中にあったかいものを感じた。 足が見えた。 後ろから抱き着き、胸を触ってる。 「いやだ」 手を払った。 イヤホンが外れた。 顎に手がかかり、後ろ向きになるとキスされた。 駄目! パジャマの中に手が入ってきた。 「ダメだって」 「いいだろ?夫婦なんだ」 そういうことじゃない。 「疲れてるでしょ、寝よう、ね」 嫌だ。そういうと胸をしゃぶり始めた。 「声出していいぞ」 そうじゃない! 好き。でも、赤ちゃんできて捨てられたら私。 「つけて」 「え?今更?」 「じゃあしない」 「んー、嫌だ」 駄目! 流された。 やっちゃった。 駄目だよね。 もう、一人でなんて無理。 「無理だよー」 シャワーを浴びながら泣いた。 誰も助けてなんてくれないのに。 心が痛い。 お風呂から出てくるともう寝ている。 二人でいるのに一人ぼっちのような気がした。
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