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「まったく、早く帰ってくればこれだし、何やってんだ?」
携帯はなっているがでない。
「ハー、腹減ったぞ、シャーない、残ってるのやっちまうか」
仕事の書類に夢中になっていて時間を忘れていた、ふと見た時間。
時計は十時、いくらなんでも遅すぎる。
車に乗ってあいつのアパートへ。明かりはついていない、けど、カーテン?おかしい、あいつは開けておいて・・・!
慌てて階段を駆け上った。
ドアノブに手をかけようとして、手が止まった。
開いてる?
ぞくっとした、体中の血がすべて足元からなくなるような感じ。
!
中に入り、明かりをつけた。
「亜矢―、くそ―!!!」
テーブルの下に散らかった、手紙やダイレクトメール、そして、義手が転がっていた。
「では、奥様は、ここを別邸にされていたんですね」
「はい、今日は、祖父に頼まれていた手紙と、ベストなんかを取りに行くと、夕方に来たはずなんです、夕飯の買い物をついでにしてくるからと」
「そうみたいですね、スーパーに何か頼んであるのか引換券です、クリスマスですからね」
「ケーキか」
横から覗き込んだ男。
「お宅は?」
「顧問弁護士の戸田と申します」
「そうですか、何か心当たりは」
「いえ」
「おかしいと思われたのは、ここに来てからですか?」
「はい、妻は左手がありません、その義手を置いていくことは考えられません」
義手はフックのついている方。
鑑識が、腕から指紋をとろうとしている。
「すみません」
「何か取れたか?」
こそこそと何かを話している。
「男性が三人、それも、指紋を取られるような前科者です」
ちょっとよろしいでしょうかと、車に乗せられた。
この男、ご存知ですか?パソコンの中の男
「いいえ」
「佐藤元、亜矢さんの母親を殺した男です」
この男か?
「ハー?なんでこいつがこんな所にいるんですか、殺人犯でしょう!」
「落ち着いて、裁判で減刑になったんです。悪いのは亡くなった方にも非があると」
「死人に口なしか、相手の弁護士、見つけてこてんぱにしてやる」
「まあ、まあ、今は彼女の身の安全を考えます」
「あとの二人は」
「三国組の工作員ですね」
「三国組ですって?」
「ええ、なにか?」
「何かって、やくざじゃないですか?彼女を見つけてくださいよ!すぐに見つけて下さいよ!」
「今、これを流しましたので、すぐにでも見つかると思います」
義手を持ったままぼーっと立ち尽くす忠典。
「緒方、悪いな、目を離さないでおいてくれ」
「はい、これはもう持って帰ってもいいのでしょうか?」
「ああ、忠典、忠典!しっかりしろ!お前の代わりに亜矢ちゃんが連れていかれたんだぞ」
「わかってる、わかってるけど、なんで!」
「ほら、ちゃんと見ろ、彼女の物、ないものはないか?」
壊れたスマホ、財布、ベスト、セーター、手紙類。
「カギ、部屋は空いていた、カギは何処だ?」
三人で探す。
「あった、靴の中」
「靴?あいつ裸足で」
「それも持って行け、いいな部屋から出るな!脅迫されるようなことはない、もし、それをして来たら墓穴を掘る。お前は待機、しっかり亜矢ちゃんの帰りを待て、いいな、聞いてるか!緒方頼んだ」
「はい、社長、帰りましょう」
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