第八話

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第八話

「ん?失礼します」 携帯が鳴って、戸田は席を外した。 「お前はどう思う」 「薬に手出していいはずないでしょ、ましてや、未成年使ってデーター集めようなんて」 「そうか、あいつも、ハハハ、それでアメリカか」 「楽しそうでしたよ、日本にもいい友達はいますから」 「そうか、では、こっちは」 バンと扉が開いた。 「忠典!見つかった!」 ガタンと立ち上がる人たち。 「どこだ!」 「会長、どうか御決断を」 「物(ぶつ)が出てきたか」 「はい」 「わかった」 「感謝します、行こう」 「生きてるよな!」 「当たり前だ!」 二人があわただしく出て行った。 「にぎやかでございますね」 「ああ、少しうるさくなりそうだ」 「よろしいんじゃありませんか、クリスマスですから」 「そうだな」 ものすごい、パトカーのサイレンにびっくりして、窓から顔をそーっと出した。 なんかすごい事になってる? 凄い車の数、それに取り押さえられてる人。 映画みたい。 「あ、さっきの人だ」 警官を連れてきた。 車の鍵が大きな音を立て開いた。 「井上亜矢さん?」 「はい、そうです」 「被疑者確保、向こうの車行こうか」 「はい」 彼を見た、うんと頷いている。 「あのー、窓から落ちる時、とっさにこれももってきちゃって」 「なにこれ」 「お金みたいなんだけど…拾って…」 「拾った?これは、行こう、ありがとう、歩けるかい?」 「亜矢さんすぐに行くから」 「うん」 彼は、大きく手を振っていってしまった。 抱えらえながらひょこ、ひょこと歩く、靴がない分歩きやすかったけど、足が冷える。 「亜矢―!!!」 その声に顔を上げた。社長? 「忠典さーん!!!」 走ってきた彼に抱き着いた。 「恐かったよー」 「もう大丈夫だ、ごめんな。ごめん」
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